【ホイール】HUNT 50 UD カーボンスポーク 9,000km|”ちょうどいいしなやかさ”を探して行き着いた終売ホイール

概要
今回は HUNT 50 UD Carbon Spoke Wheelset のインプレっぽいものを少々。(この響きがカッコいいのでやってみたかっただけ、というのは過去3回と同じである。
例によって、先に免責を置いておく。
- 脚は鈍感、パワーは貧弱。
- パーツの理屈はほぼ分かっていない。
- 手元で比較できるのは、これまで履いた Shimano WH-6800 / Prime RP-50 / ROVAL RAPIDE CL50 だけ。
というわけで、いつも通り「他のホイールと比べてどうだったか」という相対評価しか書けません。ご容赦ください。
結果から書くと、私にはこれが一番合った。 Roval CL50 ほどガチガチではなく、Prime RP-50 ほど柔らかくもない。ちょうどよいしなやかさで、雑な私のペダリングとリズムに素直についてきてくれる。5年半・9,000km 使って、いまだに履き替える気が起きない。
ただし手放しで褒められない点もある。横風は歴代で一番きついし、途中でカーボンスポークが1本、裂けかけた。 このあたりも含めて、速度域とシチュエーションで刻んでいく。
ホイールのインプレっぽいものを書くのは、WH-6800・Prime RP-50・ROVAL RAPIDE CL50 に続いて4本目。今回の「合った」話は、ある意味「私には全く合わなかった」で終わった ROVAL CL50 の回の裏返しでもある。過去3本は記事の最後にまとめてリンクしておく。



これまでの経緯
- 最初から WH-6800(バイクを組むときに指定。いわゆる鉄下駄は履いていない)
- 2017/11:WH-6800 → 初カーボン・初ディープの Prime RP-50
- 2020/5:S-WORKS TARMAC 試乗で CLX50 に一目惚れ → 廉価版の ROVAL RAPIDE CL50 を購入
- 2021/2:CL50 と Prime を両方まとめて手放して、HUNT 50 UD Carbon Spoke へ一本化
CL50 は「綺麗に回せ、話はそれからだ」というホイールで、私の脚では登りで踏み切れなかった。Prime は「進めばいいんでしょ」と何でも許してくれる代わりに、フレームによっては横にたわんでブレーキに擦る。その中間で、かつ軽いものが欲しかった。カーボンスポークで被らない、というミーハー心も正直あった。
履いて最初に思ったのは「Roval って優秀やな」だった。それなのに、結局こちらが手に残った。。。
スペック
| 名称 | HUNT 50 UD Carbon Spoke Wheelset(リムブレーキ / QR) |
| リムハイト | 50mm |
| リム外幅 | 26mm |
| 重量(カタログ) | 1,358g |
| 重量(実測) | 前 625g + 後 767g = 1,392g(リムテープ込み) |
| ベアリング | CeramicSpeed |
| フリーボディ | シマノ/SRAM 11s |
| スポーク | UDカーボン・エアロ(ブレード)形状 |
| 使用タイヤ | Continental GP5000 25C(クリンチャー運用) |
| 走行距離 | 約9,000km(2021/2〜、継続使用中) |
| メンテ歴 | オーバーホール1回(この時にリアのカーボンスポーク1本の裂けが見つかり、H_CARE で無償交換) |
| 使用場面 | ロングライド・ヒルクライム(主戦場は清滝峠) |
| 購入価格 | 約14万円(2021/2 購入時) |
| 参考:2023/1 時点の公式価格 | ¥250,800(その後 終売) |
カタログ重量・寸法・価格は、当時の HUNT 公式(huntbikewheels.cc)のプロダクトページより。いまは同モデルのページ自体が無くなっている。実測は購入直後にキッチンスケールで。テープ分を差し引くと、おおむねカタログ通りだった。


見た目
地は艶消しのUDカーボンで、そこに面で構成したグラフィックが入っている。昼間はわりと地味な部類なのだが、夜、ライトが当たると、その面のところだけチラチラと光る。 清滝の下りで前走者のテールライトを浴びたときや、対向車のヘッドライトを拾ったときの一瞬のきらめきが、普通に綺麗だ。ナイトライドが多い身には、地味にうれしい誤算だった。(写真だとフラッシュで余計に目立つ。
そもそも配送箱に刷られた HUNT のロゴからして、細い線で区切った幾何学マークだ。その意匠がそのままリムに乗っている、という感じで、当時の HUNT のカーボンらしい顔つきだったと思う。最近のモデルはもっとあっさりした見た目に振っているようで、あの角ばった意匠は薄れつつある。この時代の HUNT の外観が気に入っている人は、それなりにいるはず。

★評価(5段階・軸は歴代と固定)
| 軸 | HUNT 50 UD | 参考:Roval CL50 | 参考:Prime RP-50 |
|---|---|---|---|
| 低速域(発進) | ★★★★ | ★★ | ★★ |
| 高速域 | ★★★★★ | ★★★★★ | ★★★★ |
| 加速性能 | ★★★★ | ★★★ | ★★★★ |
| 巡行性能 | ★★★★ | ★★★★★ | ★★★★ |
| 登攀性能 | ★★★★ | ★★★ | ★★ |
※ 他のホイールをまた触ったら、評価は普通に動きます。あくまで相対評価。
所感 — 速度帯・シチュエーションで考えてみる
発進時:0〜20km/h
前のホイール(CL50 / Prime)より 160g 軽くなった。その分、信号スタートや清滝の取り付きで、自然とケイデンスが高めに入る。軽さのおかげで漕ぎ出しはかなり楽。 歴代で一番わかりやすい違いがここだった。
CL50 の「リムが重くて発進が重い」も、Prime の「2〜3踏みしないと乗らない」も無い。踏み始めた瞬間から素直に前へ出る。★4。
加速時:20〜30km/h
この速度域は、とにかく楽だ。 グイッと踏んでも、ヌルッと回しても、返ってくるものがだいたい同じ。ペダリングの粗を、ホイールのほうで勝手にならしてくれるような感触がある。
CL50 が「綺麗に回した時だけご褒美をくれる」ホイールだったのに対して、こちらは踏み方をいちいち問われない。加速させているというより、気づいたら次の速度に乗っている。
ダンシングが心地良いのもこの区間。車体を振ったときの返りが素直で、CL50 のように「身体をブレさせるな」と叱られる感じがしない。
巡航時:30〜40km/h
巡航に「乗せる」作業がほとんど要らない。 一度この速度に入れてしまえば、踏むのをやめても後ろから軽く押されている時間が長い。リムの慣性に、カーボンスポークのしなりが乗って、脚当たりは柔らかいまま速度だけ維持される、という感じ。
集団後方で待つ、ロングの終盤で流す——そういう「守りの巡航」が一番ラクなホイールだと思う。
エアロ効果は「ありそう」という程度には体感がある。(数値で測ったわけではないので、そう書くのが正直なところ。 ディープリム特有の「コォォォォ」という風切り音も一応する。
高速域:40km/h〜
正直に書いておくと、ここ数年はレースに出ておらず、40km/h超をキープするような走り方をしていない。 だから★5と付けてはいるが、それは Prime / CL50 と履き比べていた頃の体感に基づく評価で、今の私の使い方では検証しきれていない。
「ディープ+カーボンスポークで、踏めば伸びるのは間違いないが、その伸びしろを最近は使えていない」——というのが誠実なところ。。。
踏めば40km/h台にはすぐ乗る。(例によって、維持できるとは言っていない。 この速度域はもう、ホイールというより私のエンジンの問題である。
ヒルクライム
主戦場は清滝峠。過去記事と同じ基準で言うと、清滝峠・勝尾寺クラスの1桁勾配は問題なし。 軽くなった分、CL50 で感じていた「登りで踏み切れない」が薄れて、淡々と回して上がれるようになった。
2桁勾配(暗峠・逆瀬川クラス)は、フェアな比較ができない。 Prime や CL50 でその手の激坂をちゃんと登っていたのは自分の全盛期で、HUNT に替えてからはその時期と重なっていない。脚のほうが先に落ちてしまったので、「ホイールの差」として語れるデータが手元に無い、というのが実情。
ダウンヒル
とにかく速度が伸びるので、けっこう怖い。 50mm ディープ+そこそこの重量で慣性が乗るぶん、放っておくとどんどん速くなる。しかもカーボンリム+リムブレーキで制動は弱め。
なので下りは 早めに当て効きさせて、こまめに速度を殺しながら降りるようにしている。コーナー手前でまとめて減速、では間に合わない。接地感・安定性そのもの(たわんで曲がらない等)に不満は無い。こわいのはあくまで「伸びる速度」と「効かないブレーキ」の組み合わせのほう。
ブレーキ性能
カーボンリム+リムブレーキなので、アルミより効かないのは前提。シューは SWISS STOP BLACK PRINCE(Prime のときから同じもの)。
それでも 雨天は本当に止まらないので勧めない。 濡れたカーボンリムを一拍おいて拾う感覚で、街中だと肝が冷える。晴れていればコントロールはできるが、「ガツンと止まる」ものではないので、前述のとおり下りは早めの当て効きが前提になる。
問題点
横風がとにかくきつい
歴代で一番、横風で持っていかれる。ハイトは Prime も 50mm で同じなのに、HUNT のほうが明確に煽られる。幅広のエアロ(ブレード)スポークが受けているのではないか、というのが素人なりの推測。強い横風の日は、不意の一発にハンドルを取られてヒヤッとさせられる。
カーボンスポークが1本、裂けかけた
これが最大のトピック。導入から約10か月後、オーバーホールに出したら、ショップから「リアのスポークが1本、裂けかけている」と連絡が来た。 触ると「ミシッ」と鳴ったらしい。ドライブ側の1本で、繊維が縦に割れかけていた。自分では走行中まったく気づいていなかった。心当たりといえば清滝の全開くらいで、当時も「踏みすぎたか?」と首をひねっていた。

幸い、このホイールは HUNT の H_CARE(クラッシュや不具合をカバーする独自のケア制度)の対象だった。本国に連絡すると交換スポークが無償で送られてきて(英国発で2週間ほどかかったが)、ショップの作業費まで HUNT が返金してくれた。スポークの件での実質の出費はゼロ。 原因が不良個体なのか、何かにぶつけたのかは、はっきりしていない。
それ以来、洗車のたびにスポークを一本ずつ確認するのが習慣になった。「カーボンスポークの耐久性」は、いまも頭の片隅にある不安だ。ただ、保証の対応そのものは文句なしだった。
輪行との相性は良くない
カーボンスポークの乗り心地は気に入っている。が、輪行がメインだと気を使う。 前後輪を外してフレームに沿わせるとき、スポークどうし・スポークとフレームが当たる。金属スポークなら気にしない接触が、カーボンだと「今の、大丈夫だったか?」となる。
(掃除のとき、スポークの繊維が親指に刺さって取れなくなったこともある。素材としてそういうものだと割り切るしかない。
ラチェット音がやかましい
フリーの音が とにかく高くて大きい。 噂通り、なかなかの高音具合で、静かな峠の下りで自分だけ盛大に主張してしまう。クビキリギスかよ、という感じw 好みが分かれるところ。慣れると気にならない、とだけ言っておく。
初期に一度だけ:フリーボディからの異音
導入直後、ロー側3枚だけで異音がした。原因はフリーボディに塗ったグリスがスプロケ側にはみ出していただけ。拭いて解決。ホイール本体の問題ではない。
最後に
換装直後は「Roval って優秀だったんだな」と思ったくらいで、正直しばらくは良さが分からなかった。それが 9,000km 走った今になっても履き替える気が起きないのだから、要するに 私の脚に合っていた、ということなのだと思う。ガチガチでもフニャフニャでもない、ちょうどいい「しなり」。
コスパ
購入時で 約14万円。カーボン・50mm・カーボンスポーク・CeramicSpeed ベアリングでこの値段は、当時としてもかなり安いほうだった。HUNT を選んだ一番の理由がこれ、と言っていい。
その後 2023年には公式で ¥250,800 まで上がり、いまは終売。同じ構成を新品で買おうとすると倍近い。
HUNT というブランド自体は、今でも次のホイールの候補に入れている。ただ、円安で、あの頃のような「価格破壊」はもう望めない。 「安いのに全部入り」だったのが HUNT の魅力だったので、そこが薄れてしまったのは、正直、次に手を出すときの悩みどころではある。
ランニングコスト・注意点
- リムブレーキ用カーボンシュー(消耗品)。
- リムブレーキ+カーボンなので雨天運用は非推奨。
- カーボンスポークは振れ取り・スポーク交換ができるショップが限られる。買う前に、面倒を見てもらえる店のあてを付けておいたほうがいい。
- CeramicSpeed ベアリングは、9,000km でオーバーホール1回。いまのところゴリ感や露骨な回転落ちは無い。
- 輪行主体の人には積極的には勧めない。据え置きで乗るなら乗り心地は良い。
こんな人に
- Roval CL50 のような「上級者向け」を買って持て余した人。
- Prime のような柔らかいホイールから、少しだけ張りが欲しい人。
- 50mm ディープの見た目・エアロは欲しいが、ガチのレース機材までは要らない人。
- 逆に、強い横風の土地に住んでいる人/輪行がメインの人は、ひとつ立ち止まったほうがいい。
そして「また HUNT を選ぶか」だが——次のホイールでも候補には入れている。 同じ銘柄はもう終売なので手に入らないが、ブランドとしては変わらず信頼している。唯一にして最大の引っかかりが、前述の円安。あの価格でもう一度出会えないなら、次は別の選択肢も真面目に見る、というのが今の心境。


余談:清滝峠の10年ぶん・631本を並べてみた
せっかくなので、Strava に残っていた清滝峠の全エフォート 631本(2016〜2026) を引っぱり出して、ホイール世代で並べてみた。パワーメーター(4iiii)のデータが乗っているのが 606本。
同じ平均パワーの帯で、登坂タイムの中央値を比べるとこうなる。
| 平均パワー | Prime期 | Roval期 | HUNT期 |
|---|---|---|---|
| 230–245W | 13:41 | 15:11 | 15:06 |
| 245–260W | 13:18 | 14:39 | 14:13 |
| 260–275W | 12:23 | 13:46 | 13:28 |
| 275–290W | 11:46 | 13:41 | 12:58 |
| 290W〜 | 11:10 | (データなし) | 12:15 |
同じパワーなら、Prime期のほうが HUNT期より1分前後速い。
……で、これを「HUNT が遅いホイール」と読むのは無理がある。犯人は、たぶん私の体重だ。
具体的な数字は伏せる。(機材の重量は1g単位で気にするくせに、自分の体重は書きたくない。カーボンスポークより繊細な部位なのだ。 それでも体重計のログを見ると、Prime の全盛期(2018〜2019年)から HUNT期にかけて、フルボトル10本ぶんくらいは増えていた。 清滝は4kmで約250m上げる坂なので、登坂タイムはだいたい「体重(+機材)」に比例する。1割重くなれば、同じパワーでもタイムは1割、つまり 1分以上 遅くなる計算で、上の表の差はほぼこれで説明がつく。
逆に言えば、絞れば清滝のタイムも戻るはずで、そのときは「ホイールのせい」にしなくて済む。いま減量中なので、答え合わせはそのうち。
年ごとに並べると、話はもっと救いがない。
| 年 | ホイール | 中央パワー | 中央タイム(各ライド1本目) |
|---|---|---|---|
| 2018 | Prime期 | 285W | 11:26 |
| 2019 | Prime期 | 280W | 11:59 |
| 2021 | HUNT期 | 268W | 13:14 |
| 2023 | HUNT期 | 235W | 15:41 |
| 2025 | HUNT期 | 222W | 16:22 |
パワーもタイムも、きれいな右肩下がり。ホイールは2021年からずっと同じ HUNT なのに、そこから先も落ち続けている。 631本並べて分かったのは、私が歳を取って太った、というだけのことだった。
ホイールの話に戻せる範囲でひとつだけ言うと、Roval と HUNT を同じパワー帯で比べると、どの帯でも HUNT のほうが少し速い(心拍160〜170で揃えても HUNT 14:25 / Roval 14:58)。これは「Roval は綺麗に回さないと進まない」という体感とも合っている。清滝峠で Prime と Roval を 1W差・同タイムで比べた回 もあわせてどうぞ。清滝峠のパワーの話は パワーメーター 4iiii Precision の記事 にも。
データ元:Strava セグメント「清滝峠」の全エフォートを API で書き出し、世代別に集計した。
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